昔からそば打ちは「一鉢、二伸し、三、包丁。」と呼ばれています。
これは麺ができるまでの順番だけを表現したものではなく、工程の重要さを指して言われています。
「包丁三日、伸し三月、木鉢三年」と言葉もある程で、長年の修行無しでは美味しい蕎麦を打つことは出来ません。
大きな鉢の中にそば粉を水を投入し、絶妙な手さばきで生地を作り上げていく。
「水回し」とも呼ばれるこの作業は、そばの味をも大きく左右するほどの重要な工程です。
2:8の分量で混ぜ合わせた小麦粉とそば粉を、約10分かけてじっくりと仕上げていきます。
後で水を足したりしても決して馴染まないそば粉の性質上、常に真剣勝負、一発勝負。
手早く粉をかき混ぜたり揉み込んだりを繰り返しながらそば粉全体に水分を行き渡らせ、サラサラだったそば粉がまずはだま状になり、いずれ団子状になり、最終的にはなめらかな玉のような極上の生地にまとまります。
まとめた生地を綿棒で均一な厚さに伸して行きます。
ここでの工程の正確さが、見た目に美しく滑らかな喉越しの蕎麦を作り出します。
切り口を滑らかに、リズムに乗って蕎麦を均一に切っていきます。
断面を潰さないよう、愛用の包丁は常に手入れを欠かしません。
これでツルッとた喉越しと香り高い蕎麦の香り、コシのある食感を併せ持った慶徳自慢の麺が出来上がります。